今度の出雲の國伝統芸能交流大会では「羅生門」を上演します。
雲南市ではあまり石見神楽をご覧になった方も多くないと思いますので、
ここで演目の見どころなどをご紹介したいと思います。
まず前提として、石見神楽とはどういうものかというのを先にお話します。
出雲神楽も石見神楽ももともとは松江市の佐太神社に伝わる佐陀神能が起源です。
それが伝承していくうちに変化し、今の出雲神楽と石見神楽の形態になりました。
出雲神楽の囃子はゆっくり(六調子)ですが、石見神楽はテンポが早い(八調子)です。
出雲神楽は神職さんの衣装のような正絹や金襴で作られており少し落ち着いたの衣装ですが、
石見神楽は刺繍で作られた龍や虎などの生き物をビロード地の衣装に縫い付けてあり、とても派手な衣装です。
また、舞ぶりも出雲神楽がゆったりした舞に対して、石見神楽は激しい舞になっています。
石見神楽ではドライアイスのスモークや花火、巻紙で作った蜘蛛の糸などを使う演出もあります。
この「羅生門」という演目は、昔話でもおなじみの酒呑童子と源頼光との戦いをモチーフにした演目です。
もともとの「平家物語」では愛宕山の鬼の腕を渡辺綱が切り落とすという物語ですが、
神楽では愛宕山の鬼ではなく酒呑童子の手下の茨木童子の腕を切り落とします。
能や歌舞伎では茨木童子自身が腕を取り戻しに来ますが、神楽では酒呑童子が取り戻しに来ます。
最初の見どころは、羅生門での綱と茨木童子の戦いです。
短い戦いですがここで綱は茨木童子の左腕を実際に切り落とします。
そして茨木童子は大江山に逃げ帰ります。
次の見どころは、酒呑童子が渡辺綱の乳母・白妙に姿を変える場面です。
さらにこの白妙から元の酒呑童子に戻っていくところが、この演目の最大の見せ場です。
どのように鬼からお婆さんになり、また、お婆さんから鬼に戻っていくかは見てのお楽しみです。
酒呑童子が腕を取り返そうとしたところを綱に見つけられ戦いとなります。
その最中に酒呑童子が綱に妖術をかけるところも見所ですし、
酒呑童子が腕を取り返し、茨木童子にもみ付ける場面も見どころです。
腕がくっついて茨木童子が喜ぶ様子を存分にお楽しみください。
綱のピンチに頼光が駆けつけ、そのあとは4人の戦いとなります。
この戦いは舞い手も囃子方もどんどんヒートアップしていきますので、とても激しい戦いになります。
舞い手の衣装にも注目してください。
頼光主従に敵わないと見た酒呑童子は妖術を使って大江山に逃げ帰ります。
その場面も注目してみてください。
たくさん見どころをご紹介しましたが、まずは事前にあらすじをしっかり読むことをおすすめします。
話が分かっていれば神楽は何倍も面白くなります。
なかなか雲南市で上演することも少ないので、ぜひ飯南神楽同好会の神楽を目に焼き付けて帰っていただければと思います。
私たちも精一杯上演したいと思います。